クラウド型施工管理システムとは?導入するメリットやポイントを解説
建設現場におけるさまざまな業務を効率化するシステムを「工事管理システム」といい「クラウド型工事管理システム」とは、インターネットを通じて関係者の皆が利用できる工事管理システムのことです。ここではクラウド型工事管理システムを導入するメリット、そして導入に当たって押さえておきたいポイントなどを解説します。
クラウド型施工管理システムの基本
元々、工程管理や日報を主に紙やFAXなどで作成してきた建設業界ですが、工事管理システムを使うことにより、いつでもどこでもタイムリーに一元管理できるようになりました。クラウド型施工管理システムとは、工事全体における作業効率を把握し、施工スケジュールや予算、発注、施工主とのコミュニケーションなどの施工管理をパソコンやスマートフォンで行うものです。
紙や複数のシステムで工事を管理していると、さまざまなやり取りや管理の複雑化によって、確認ミスや情報の行き違いなどが発生することがあります。その点、工事管理システムに情報を一元化すれば、情報を確認しやすくなることで業務効率が上がるため、協力会社との連携が円滑になるなどという効果を見込めます。
「納期遵守を徹底したい」「工事の品質を上げたい」「生産性を改善したい」「ミスを削減したい」「社外と円滑にコミュニケーションしたい」などといったさまざまな課題を持つ場合に導入を検討するのがよいでしょう。
クラウド型施工管理システムの導入で楽になる業務
工事管理システムでは、現場ごとに受注や発注を集約できるので、見積書や請求業務にも対応できます。月末や月初の経理作業は煩雑になりがちで、経理担当者の負担がとても大きくなります。
紙やFAXで受発注や請求をしている場合は更に手間がかかります。そこにシステムを導入することで、情報入力の手間も少なくなります。ミスの削減にもつながり、経理作業全体の生産性をより高めることができるでしょう。
見積や予算管理など、作成する帳票が数多くある現場監督も、システムに搭載された見積作成・予算管理機能で現場での帳票作成が可能になります。今まで事前に把握しづらかった工事の実行予算や赤字なども、案件ごとの予算の管理や損益の可視化ができるようになります。システム導入は経営者や役員にも有用といえるでしょう。
そして生産性が上がり業務の効率化ができると、無駄な工数が減っていきます。システムを介することで、関連会社や協力会社に所属する作業員ともコミュニケーションが取れるので、素早い意思疎通が可能になり、円滑に業務を進められます。
管理業務に充てる時間を効率化できることで、社員全体のフォローやほかの業務・営業などの時間を確保しやすくなります。このように、現場が可視化されるため、社外への工事の進捗報告もスムーズに行えるようになっていきます。
クラウド型施工管理アプリを導入するポイント
工事管理システムは、さまざまな業界や業種に対応しているものから、特定の業種に特化しているものまでさまざまなものが存在します。自社の業界・業種にあったシステムであることを選びましょう。
システムの導入にはもちろん費用がかかりますが「IT導入補助金制度」があります。中小企業や小規模事業者の場合、最大で350万円の補助を受けることが可能です。これにより、ITツールを少ない負担で導入できるという大きなメリットがあります。
無料のクラウド型施工管理システムを導入するときの注意点
工事管理システムには、オンプレミス型とクラウド型の2種類があります。オンプレミス型システムはほとんどが買い切り型のシステムです。そのため導入時に多額の初期費用がかかります。そして、システム以外にサーバ構築費用なども必要になってきます。
クラウド型のシステムの場合は、システムの導入費やサーバなどといったインフラ環境の構築費用が不要なので、オンプレミス型よりも初期投資を抑えた導入が可能です。近年はクラウド型を選ぶ会社が増えています。
工事管理システムはとても便利ですが、データを入力する担当者やタイミングなど、管理体制が整わない状態で導入してしまうと、紙などでの管理とシステムの管理が混在してデータが不完全になってしまいます。導入前に運用体制を整えておきましょう。
そしてクラウド型工事管理システムは、さまざまな会社からそれぞれ色々な機能をつけたものが提供されています。適当に選んでしまい、不要な機能の多さや、社内で使うほかのシステムへの移行ができないなどといった、自社に適さないシステムを導入しないように気を付けるのも重要です。
システムを選ぶ際は「解決したい課題を明確にすること」「現在の業務で使っているシステムとの親和性」「操作性のよさ」の3点を明確にしておきましょう。
まとめ
建設業に特化したクラウドサービスは、さまざまな情報の確認を離れた場所であっても関係者一同で共有することが可能になるものです。
工事に関するさまざまな業務のデータを一元管理できるクラウド型工事管理システムを導入することで、工事の関係者全員で情報を共有し、より迅速かつ効率よく工事をすることで、受注件数を更に増やすことが可能になっていきます。
しかし、選び方を間違えると、導入費用や導入にかけた時間が無駄になってしまいます。まずはシステムで解決したい課題や効率化したい業務を明確にし、自社にとって必要な機能を選び、その中から最適なシステムを選ぶことが重要です。