施工管理の現場はなぜ人手不足になる?その理由と解決方法を解説!
施工管理の現場は近年、人手不足で悩まされています。少子高齢化で若者の数が減っているのは原因のひとつですが、それだけではないようです。そこで本記事では、施工管理現場の人手不足が起こる原因とその解決方法を解説。人手不足を解消するためには根本的な働き方の改革と、意識改革が必要なことが分かるはずです。
建設業全体で人手不足が起こっている
建築業界全体で人手不足に悩まされています。ここでは現状を把握しておきましょう。
若手が減少傾向にある
国土交通省によると、建設業の29歳以下の就業者数は平成9年にピークを迎え、今にいたるまで年々減少傾向にあるといいます。
また、建設業の29歳以下の就業者数は全産業の29歳以下の平均値を大幅に下回っており、若手の人手不足が高まっているのです。また、55歳以上の就業者数は全産業の平均を上回っており、建設業にも少子高齢化の影響がでているといえるでしょう。
建設業の需要が高まっている
就業者数に対して、現在施工管理の需要は伸びる一方です。一時期コロナウイルスの感染拡大により、大幅に、住宅着工戸数は減少しましたが、2021年から2022年2月にかけては回復し常に増加傾向にあります。
また、現在は大阪万博に向けたインフラ整備やIRリゾート事業、品川・名古屋巻のリニア開通プロジェクトなどが進んでおり、建設業の需要はどんどん高まっているのです。
施工管理の現場はなぜ人手不足になってしまうのか
施工管理の現場はなぜ、人手不足になってしまうのでしょうか。そこには昔ながらの働き方と若者の求めている働き方の差異があるからでした。
労働時間の長さ
2019年の働き方改革によって、36協定が施行されました。これによってほとんどの職種が1日8時間、週に40時間以内の労働。さらに月に45時間、年に360時間以内の残業を守る必要がでてきました。
しかし、2019年には36協定が適用されなかった職種があります。それは比較的勤務時間の長い医師、建設業、運送業、鹿児島県と沖縄県の砂糖製造業です。施工管理は建設業に含まれるため、労働時間は長いのが現状です。
また、施工管理の現場は発注ミスや天候の荒れ、運搬の遅れなどによって工期が乱れやすいといえます。その穴を埋めるために、休日出勤を余儀なくされることがあるのです。残業の多さと休日出勤があるのは離職率を高め人手不足を起こす原因になるでしょう。
給与の低さ
残業と休日出勤が多いにも関わらず、給与はほかの職業と大差ありません。同じ給与で多量の労働時間となれば、従業員の不満が溜まり離職率が高まるのは明らかです。
ケガ・身体故障のリスク
昭和から令和にかけてケガや事故のリスクは年々下がってきていますが、会社員に比べれば現場仕事であるためリスクが低いとはいい切れません。もしケガや事故にあっても、身体に後遺症が残ったり社会に復帰できなくなったりする可能性もあります。
女性の働きにくさ
施工現場などの建設業は、いまだに女性従業員の少なさが目立ちます。そのため、女性が働きやすい職場が整っていないのが現状です。たとえば、工事現場に女性用のトイレが設置されていなかったり、産休産後休暇・育休の福利厚生がなかったりします。
昔ながらの悪いイメージ
建設業はいまだに、根性論と体罰がまかり通っているイメージをする方も少なくありません。また3K(キツイ・汚い・キケン)のイメージもあるため、就職をためらう方が多いのが現状です。とくに今の若い世代は仕事と自分の生活のバランスが取れる職種を選ぶ傾向にあるため、若手の確保が難しいといえるでしょう。
若手の育成方法
昔から建設業は一から丁寧に教えるというよりも「見て学べ」といった教え方が主流でした。令和になった今でもそのような教え方を採用している企業が多くあります。
しかし、現在の若者は見て学ぶよりも一度丁寧に教わったほうが技術の習得が早いことを知っているため、世間からは「若手の教育を放棄している」と受け取られてしまうでしょう。
人手不足を解消するには?現場の効率化も必要!
人手不足を解消するにはどうしたらよいのでしょうか。ここで解説します。
残業時間の見直し
まずは、2024年4月から適用される36協定を利用して、段階的に労働時間を短くしていくことが求められます。労働時間を短くし週休2日休めることが確約されれば若手の就職率も増加していくでしょう。
技術給の実現
現在の建設業では、どんなに働いても技術が高くても給与に影響することがありません。そのため、仕事を適当に行う人と頑張っている人の差別化ができず、働くモチベーションの維持が難しくなります。
技術のある人や結果を出している人には、通常の給与にプラスして技術給を渡す方法が効果的です。頑張った人が正当な評価を受けることが世間に伝われば、人手不足も解消していくでしょう。
女性が働きやすい環境づくり
施工管理の現場は力仕事がいる仕事でないため、女性でも働きやすい環境といえます。そのため、女性が働きやすいように、産休や婚活、介護などの福利厚生を整えることが大切です。
イメージの払拭
新卒など若手の就職率を増やすには、ブラックなイメージではなくホワイト企業というブランディングが不可欠です。無理のない労働時間や手厚い福利厚生、週休2日、有休消化率100%、上司との連絡が取りやすい、指導が手厚いなどさまざまな角度からホワイト企業であることをアピールすることが必要でしょう。
まとめ
ここまで、建築業界の人手不足の原因とその解決方法を解説しました。本記事で紹介した建築業界の人手不足の原因は6つでしたが、細分化すればもっとたくさんの問題が出てくるでしょう。
このような問題を抜本的に解決するには、建築業界全体で人手不足を解消するために、動いていく必要があると思います。少子高齢化ではあるものの若手の入社率を上げ、離職率をあげていく取り組みをしていきましょう。